青色申告は記帳に手間がかかりますが、税金上で数々のメリットがあります。
もっとも大きなメリットは、青色申告特別控除が適用されることと、青色事業専従者給与が認められることです。
1. 青色申告のメリット数々
(1)青色申告特別控除が適用される。
(2.の解説をご参照ください)
(2)青色事業専従者給与が認められる。
(3.の解説をご参照ください)
(3)純損失の繰越控除や繰戻しによる還付が受けられる。
(4)小規模事業者の経理を現金主義の方法で行うことができる。
(5)たな卸資産の評価で低価法を選択することができる。
(6)各種の特別償却が認められる。
(7)各種引当金・準備金の繰入れ、積立てを行うことができる。 など
2. 青色申告特別控除
いわゆる白色申告の場合、特別な名目での控除がありません。
ところが青色申告にすると、青色申告特別控除が受けられます。所得計算を正規の簿記の原則に従って記録している人は65万円の特別控除が適用されます。
なお、従来までの簡易な簿記の方法による経過措置の控除額45万円は平成17年以降は廃止となりました。
これ以外の青色申告者でも、10万円の特別控除が認められます。
3. 青色事業専従者給与
事業主の課税所得を900万円として、この900万円の中から専従者給与0円支給、100万円支給、200万円支給、300万円支給、400万円支給のそれぞれのケースで所得税等にどのように差が出るかを次に示します。
課税所得
|
900
|
800
|
700
|
600
|
500
|
所得税
|
147
|
127
|
107
|
87
|
67
|
住民税
|
86
|
73
|
60
|
50
|
40
|
事業税
|
31
|
26
|
21
|
16
|
11
|
小計
|
264
|
226
|
188
|
153
|
118
|
専従者給与
|
0
|
100
|
200
|
300
|
400
|
給与所得控除額
|
0
|
65
|
78
|
108
|
134
|
基礎控除額
|
0
|
38
|
38
|
38
|
38
|
課税所得
|
0
|
0
|
84
|
154
|
228
|
所得税
|
0
|
0
|
8
|
15
|
23
|
住民税
|
0
|
0
|
4
|
8
|
13
|
小計
|
0
|
0
|
12
|
23
|
36
|
合計
|
264
|
226
|
200
|
176
|
153
|
(注) 定率税額控除は考慮していない。
いわゆる白色申告の場合、家族が仕事を手伝っても、その家族に対する給与は認められず、専従者控除(配偶者の場合で86万円、他の家族は1人50万円)が適用されるに過ぎません。
ところが青色申告の場合、青色事業専従者給与として、家族に支払う給与を全額、必要経費にできます。
通常はその年が赤字だった場合、その年の税金がゼロになるだけです。
それが青色申告では、その年の所得から引ききれなかった不動産所得や事業所得などの赤字分を、翌年以降3年間、利益から差し引くことができます。
また、赤字が出た前年に利益が出て税金を納めている場合には、その年の赤字分を前年に繰戻すことができ、その分の税金を還付してもらえます。